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【review】アジアの覇権を争う戦いが始まる!?RIZINで中央アジア勢が大暴れ

 6月9日(日)、国立代々木競技場第一体育館で開催された「RIZIN.47」。メインイベントで堀口恭司がセルジオ・ペティスにリベンジし、クレベル・コイケがフアン・アーチュレッタに一本勝ちする一方、中央アジア勢の強さが目立った。

 前日会見でRIZIN榊原信行CEOがコメントした通り、今大会はアメリカ、ポーランド、キルギス、韓国、カザフスタンから選手が来日。これだけ多くの国から選手が参戦するのはコロナ禍以降は久々で、非常に国際色豊かな大会となった。そのなかでも参戦発表時から話題となっていたのが、キルギスのラジャブアリ・シェイドゥラエフだ。

 シェイドゥラエフはレスリングをバックボーンに持ち、2019年に地元キルギスでプロMMAデビュー。ロシアのACAでキャリアを積み、2023年にはONEでマーティン・ニューイェンと対戦予定だったが中止となり、6月からスタートした韓国・Road FCでの63kgグローバルトーナメントに出場、1回戦ではRIZINでも活躍するヤン・ジヨンに一本勝ちするインパクトを残した。トーナメント準決勝の原口央戦は計量時間の遅刻と計量オーバーにより失格となったが、10月に参戦したUAEWarriorsでは一本勝ちを収め、MMA戦績9戦9勝(2KO・7S)というパーフェクトレコードを引っ提げてRIZINの舞台にやってきた。

 シェイドゥラエフのRIZIN参戦が発表されるとSNSでも大きな反響を呼び、誰がシェイドゥラエフの相手を務めるが話題になり、そこで手を挙げたのが武田光司だ。武田は3月の「RIZIN LANDMARK 9 in KOBE」からフェザー級に階級を落とし、萩原京平に判定勝利しており、フェザー級でのトップ戦線浮上を狙う立場。RIZINにおけるシェイドゥラエフの実力査定という意味でも注目のマッチメイクだった。

 いざ試合が始まるとシェイドゥラエフが右のスイングフックを軸に圧力をかけ、ダブルレッグに入ると武田の身体を軽々と持ち上げてテイクダウンする。試合がグラウンドになるとスクランブルの攻防からバックコントロール&キープし、右腕一本で武田の首を締めあげ、最後は両腕をクラッチ=マタレオン式のリアネイキッドチョークで武田からタップを奪った。

 実力査定どころか武田を圧倒、しかもレスリング&グラップリングで完封するという前評判以上の強さを見せつけたシェイドゥラエフ。武田も試合後に「完敗です。RIZINに出るようになって、1Rからこんなに組みで負けたのは初めて。とんでもない選手だと思う」と振り返り、シェイドゥラエフはこの一戦で“未知強”の枠を飛び越えたと言える。

 そして2度目のRIZIN参戦でインパクトを残したのがカザフスタンのカルシャガ・ダウトベックだ。2018年9月のRIZIN初参戦時には朝倉未来に判定負けを喫しているダウトベックだが、今年1月の「TOP BRIGHT01」では松嶋こよみをKOすると、約5年9カ月ぶりのRIZIN参戦では関鉄也と対戦。顔面への左フックでダウンを奪い、最後は左ボディ一発で関をマットに沈め、ハードパンチャーぶりと成長の跡を存分に見せつけた。

 シェイドゥラエフとダウトベックはそれぞれ試合後に「今までプロの試合はすべて勝っていて、2Rまでにフィニッシュしてきた。RIZINには、なるべく早く次の試合を組んでほしい。私がチャンピオンになる」(シェイドゥラエフ)、「自分の目標はRIZINでチャンピオンになること。年末にはその目標を叶えたい。ベルトに近づく試合であれば、どんな選手とも戦う準備はできている」(ダウトベック)とRIZINでの王座獲りを明確に宣言している。

 フェザー級はRIZINでも選手層が厚い階級だが、そこに中央アジア圏の選手たちが殴り込んできた今大会。前回の「RIZIN.46」ではウズベキスタンのイルホム・ノジモフが山本空良を相手に連勝を飾っており、前RIZINフェザー級王者のヴガール・ケラモフを始め、中央アジア圏やコーカサス地域の選手が確実にRIZINにおける勢力を拡大している。北米やブラジルで戦う選手たちに挑む戦いだけでなく、ユーラシアの覇権争いをかけた中央アジア勢&コーカサス勢と凌ぎを削る。それがこれからのRIZINの一つの風景になるのではないか。そう思わせる「RIZIN.47」だった。

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