◎文・安村発
10月20日(日)東京・後楽園ホールで開催された『RISE 182』のメインイベントでRISEフェザー級で注目のタイトルマッチが行われ、王者・門口佳祐が安本晴翔を挑戦者に迎えて2度目の防衛戦に臨んだ。
門口はフルコンタクト空手の数々の大会で優勝するなどの活躍を見せていたが、2018年5月に行われたABEMATV企画の那須川天心挑戦者決定トーナメントにエントリー。日本全国から腕に自信のある強者が揃う中、勝ち上がった門口は天心との一戦に辿り着き、2度のダウンを奪われて敗れはしたものの一躍名を広めた。
RISE伊藤隆代表のスカウトを受けその5カ月後には、同プロモーションでプロデビュー。RISEで着実にキャリアを重ねていき、2022年8月にはRISEフェザー級タイトルマッチで王者・梅井泰成から2度のダウンを奪い王座奪取に成功した。「地味なフェザー級戦線を盛り上げていく」と言う門口はフェザー級統一を目標に掲げると、山田彪太朗、川上叶、魁斗といったSB勢、そしてKrushの新美貴士といった他団体の実力者を次々とクリアー。今年3月のK-1との対抗戦では、K-1の絶対王者・軍司泰斗と天下分け目のフェザー級トップ対決を行い敗れはしたが、勝敗はどちらに転んでもおかしくないほどの大接戦だった。
対する安本は名門・橋本道場で鍛え上げられ、ジュニア時代から頭角を現す。全国の少年チャンピオンが集結した日本最強を決める藤原敏男杯で優勝を果たすなど、24冠を獲得し、150戦を超えるアマチュアキャリアを重ね、2016年の16歳で遂にプロデビュー。的確かつスピード溢れる打撃で、REBELS、INNOVATION、KNOCK OUTといった各団体のベルトを当然のように獲得し続けた。
2022年7月からRISEを主戦場に。上がり症が原因なのか、肝心なRISEビッグマッチで川上叶、魁斗に敗れはしたが、着実に上位ランカー勢を倒していき、2年がかりでようやく今回のRISEタイトルマッチに辿り着いた。
ジュニア時代から道場でこつこつと実力を付けてきた安本に対し、門口は自身のチームを作り、常設ジムで練習を行っていない。加えて専属トレーナーもいなくばかりか、サンドバックすら吊るされていない(サンドバックがあるジムが強くなれるわけではないが)ビルの一室を借りて仲間うちでのミット打ちやスパーリングで強さを磨き上げてきたと。
対照的な練習環境が目を引く両者の一戦は序盤から圧力をかける門口に対し、スピードと手数で上回る安本が的確に攻撃を当て優位に立つ展開に。
2Rも変わらないペースで安本がリードするも、3Rに門口が左ハイをクリーンヒットさせて逆襲に成功。4Rからはお互いに接近戦での打ち合いが繰り広げられ、両者の応援陣も応援がヒートアップする中、安本が接戦を制して念願のベルトを巻いた。
国内フェザー級の動きとしては門口が前回、軍司に敗れたことで天下統一ならずだったが、9月のK-1で軍司は寺田匠に延長戦の末に判定で敗れ王座陥落し、再び混沌とした状況となっている。シュートボクシングでは現在6連勝中の山田ツインズの兄、彪太朗がフェザー級王者に君臨し、KNOCK OUTではヒジありのKNOCK OUT-REDルールではフェザー級王者に小笠原瑛作がいる。
安本は門口のようにフェザー級統一の意思はあるのか。「門口選手は軍司選手に負けて、軍司選手はK-1のチャンピオンを(寺田に)獲られたので、今のチャンピオンとやれるならやりたい」とコメントしている。果たして、日本のキックボクシング界に再びフェザー級統一の動きは見られるのか注視したい。