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【review】ブアカーオ初戦敗退と優勝したストーヤンが飛躍した理由

7月7日(日)、東京・国立代々木競技場第二体育館で行われた『K-1 WORLD MAX 2024』においてK-1WORLD MAX-70キロ世界最強決定トーナメント決勝ラウンドが開催された。

このK-1MAXは、魔裟斗たちが活躍していた旧K-1時代のMAXを復活させたもので、これまでの新生K-1時代の日本人vs世界トーナメントとは一線を画すもの。

今年3月に14名の開幕戦(1枠はワイルドカード)が実施され、日本人3名が一回戦敗退。勝ち進んだのはすべて外国人で、まさにK-1復活という印象を残した。

注目はワイルドカードに誰が選ばれるのかだったが、最終的には“時をかける鉄人”ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)の参戦が発表された。42歳のブアカーオは、K-1 WORLD MAXを2004年と2006年に制したものの、あれから18年の年月が経っている。かつてのライバルはすでに引退しているため、「大丈夫か?」という声も多かった。

 だが、しばらく試合をしていないベテランならばともかく、ブアカーオはルールの違いこそあれコンスタントに試合をしている。とくにRIZINでの安保瑠輝也戦(判定ドロー)、木村“フィリップ”ミノルをKOした試合を参考にすると、もしかしたらと思わせた。

伝説復活という期待が高まる中、元GLORYライト級(70キロ以下)2位のストーヤン・コプリヴレンスキー(ブルガリア)の素早いジャブでプレスがかけられなくなったブアカーオは、2Rにハイキックをもらいまさかのダウン。ストーヤンはこのダウンシーンについて、自分とブアカーオのリーチ差を計算にいれていたといい、偶然ではないと語った。

©︎TAKAO MATSUI


ブアカーオは、試合後に「本戦はドローで4R目を考えていた。K-1のジャッジの基準が昔とは変わったようだ」と悔しがっていたが、タイのライブ中継が行われたことも含めて(5時間半放送予定を1時間半短縮に)、本気で優勝を狙っていたことが分かる。

ブアカーオを破ったストーヤンは、準決勝でダリル・フェルドンクと激闘を繰り広げたデング・シルバと対戦。ここが大きな山場となったが、互いに準々決勝で足へのダメージがある中での激戦となる。それでもストーヤンが右ストレートでデングからダウンを奪い、判定勝ちをものにした。

反対側のブロックでは、開幕戦でストーヤンを破ったカスペル・ムシンスキが優勝候補のゾーラ・アカピャンを完封し、強さを証明した。だが決勝ではストーヤンとの再戦が予想される中、ムシンスキの拳骨折による欠場がアナウンス。リザーバーのセルジオ・サンチェスがロシアのヴィクトル・アキモフと準決勝で激突した。

アキモフは運も味方し、準々決勝でバグボード、準決勝でムシンスキの代役のサンチェスをKOしてファイナルへ駆け上がる。

決勝は、ストーヤンとアキモフのまさかの顔合わせ。ワンデイトーナメントの面白さと難しさが露呈されたが、ファイナルはストーヤンがアキモフをKOして歴史に名を刻むこととなった。

大会後、ストーヤンに開幕戦で敗北したムシンスキとの試合とは別人のようだったと印象を伝えると、彼は「前回は不眠と体重が落ちずに最悪のコンディションだった」と告白。時差ボケも重なり、今回は5日前から早めに来日し調整していたという。

ストーヤンの所属するマイクスジムのマイク会長は「彼はブルガリアから強くなるために単身でオランダへ来て、とても真摯に取り組んでいる」とそのマジメな態度が優勝へつながっていると評価した。

今後は、現K-1世界王者のオウヤン・フェン、ムシンスキとの再戦がテーマになってくるが、オウヤンはONEからの引き抜きの噂もあるため、どうなっていくのか気になるところ。どちらにしても、世界の現実を見られたことが最大の収穫となった。

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