8月13 日(火・現地時間)、米国ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでDana White’s Contender series Season08 Episode 01が開催される。
DWCSは2017年から実施されているイベントで、毎年8月から10月にかけて最初の2年は8イベント、その後は10大会が行なわれてきた。毎週火曜日の夜に開かれるため2018年シーズンまではDana White’s Tuesday Night Contender Seriesという名称が用いられていた。
UFCの人材発掘&育成プログラムとしては2005年にUFCが米国に根付くきっかけとなったリアリティTVショー=TUFことThe Ultimate FighterやDana White Looking for Fightsが有名だ。前者はUFCとの6桁契約を懸けて、Fighter’s Houseで共同生活、トレーニングを8名及び16名が行い、生き残りをかけたトーナメント戦に挑むというもの。
世界王座を争うトップクラスのファイターがコーチ役として出演しており、ファイターの個性を浮き彫りにするだけでなく、MMAに欠かせない技術や減量などジェネラル層には伝わりにくい本質的な部分も伝え、ファンの啓蒙にも役立つのがTUFの大きな特徴だ。
対してDana White Looking for Fightsは、ダナ・ホワイトがマット・セラ、ディン・トーマスというUFC OBと米国と共に各地のローカルショーを訪れ、そこで目立った選手をスカウトしてUFCとサインをするという企画だった。
DWCSはいわば、このDana White Looking for Fightsで抜擢を受けそうなファイターをベガスのUFC APEXの集め、一騎打ちを組む。その様子をダナ・ホワイトを筆頭にマッチメイカーのショーン・シェルビー、ミック・メイナードというUFC首脳が見守り、選手を査定。ただ勝利を掴むだけでなく、アグレッシブ&フィニッシュ至上MMAで、ファン好みのウィナーがUFCとの契約を勝ち取るというコンテンツだ。
必要なのはバトル、ファイトであり、テイクダウンからコントロールのドミネイト派や間合いを取って打撃を入れ、打ち合わずに相手の良さを完封するファイターは勝利を手にしても契約を勝ち取ることは難しい。いわばUFCに到達するためのアジア予選的な色を持つRoad to UFCは勝てば官軍&結果が全てであるのとは対照的だ。シーズン1第2週で契約を果たしたショーン・オマリー、シーズン3第5週でUFCにステップアップしたジャマール・ヒルの両者は、既にUFCの頂点に立っている。DWCSに出場する選手たちは自ずとリスク承知でKO、一本を狙う。
当初は米国とブラジル、あるいは英国や豪州というUFCが大会を開く国の選手たちが参戦が大半だったDWCSだが、2020年にコロナ・パンデミックが起り、世界中のフィーダーショーが活動休止を強いられるなか、さらなる国際化を進めた。結果、欧州&南米の各国、ロシア、中東、中国(その後、Road to UFCが始まり、当該階級以外の選手がチャレンジするようになる)、中央アジアと世界中のMMAイベントのタイトル・コンテンダークラスのファイターが集結するようになる。
日本人では2022年のシーズン6に出場した木下憂朔がブラジルのジョゼ・エンヒッキを3RにKO勝ちし、ダナ・ホワイトから「世界的に見て、我々には一つピースが欠けていた。才能あふれた日本人選手、スターが我々はいなかったけど今夜、発掘できた」という言葉を受けUFCとの契約を果たしている。
上記にあるようにRoad to UFCが行なわれている階級からアジア勢のDWCS出場は見合わせられているが、今年は第6週にミドル級キング・オブ・パンクラス内藤由良が2日本人選手として2年振りに出場し、カメルーンのアテバ・グーティエと戦う。
内藤も含め世界最高峰に挑む各国&地域のファイターたちの人生を賭けた一発勝負をチェックすることで、UFCとLFAやEternal MMA、Cage Warriors、BRAVE CF、UAE Warriorsなど世界を代表するフィーダーショーがコネクトできる。
そんなDWCSシーズン08。火曜日の第1週は米国、中国、レバノン、ブラジル、ジョージア、ベトナム(米国在住)、中国系英国人ファイターなど7カ国から10選手が出場する。今、UFCと契約するにはどのような戦いをファンに届けないといけないのか。勝利は当たり前、それ以上を求められるUFCの在り方が理解できるDana White’s Contender Series。10週で何人のファイターが、最高峰で戦うチケットを手にできるのか。MMAイベントとしても2時間で5試合をというコンパクトさ、最高のアルティメット・ファイティング・エンターテイメントといえよう。