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【preview】平良達郎の今後にも大きく影響する? 8年振りのマンチェスターでのUFCはモハメド・モカエフ×マネル・ケイプが見逃せない

7月27日(土・現地時間)、英国はマンチェスターでUFC304が開催される。8年振りのマンチェスターでのUFCは、今年5月にこけら落とし公演が英国のロックバンド=ELBOWによって行われたばかりのコープ・ライブが使用される。収容人員2万3000人を誇る大会場は、2016年10月に開かれたUFC204の会場だったAOアリーナより2000人多くのファンを集めることが可能だ。

PPV大会としては奇しくも100イベント振りという区切りの良さを持つ今大会。その100回前のPPVショーinマンチェスターのメインイベントではマイケル・ビスピンがダン・ヘンダーソンを相手にUFC世界ミドル級王座初防衛戦を果たした──ビスピンにとって、39戦の生涯キャリアで最後の白星──一戦だったことを考えると、まさに隔世の感がある。

今大会のヘッドライナーも英国人世界王者に変わりない。ウェルター級チャンピオンのレオン・エドワーズがベラル・モハメッドの挑戦を受け、コメインも同様にUFC暫定世界ヘビー級王者トム・アスピナルがカーティス・ブレイズを相手にタイトル防衛に挑む。

エドワーズとモハメッドは2021年3月にラスベガスで対戦し、2Rにエドワーズのアイポークでモハメッドが試合続行不可能になり、ノーコンテストという結果に終わっている。さらに、コメインも再戦だ。2022年に両者はロンドンで相対しており、試合開始直後に右ローを蹴ったアスピナルが、ヒザを負傷しわずか15秒でTKO負けを喫している。

アスピナル×ブレイズは一応、白黒はついているがタイトルを掛けて仕切り直しの一戦といえる。全14試合で構成されたUFC304では上に挙げたウェルター級とヘビー級という二階級で世界王者を擁立した英国MMA界から、12人ものファイターが出場している。他にアイルランド勢が2名(うち1人は英国のジェイク・ハードリーと戦う)、ポーランドのマルチン・プラチニオと戦うリトアニア人選手のモデスタス・ブカウスカスも在英国のファイターで、まさらに今大会は大英帝国✖ワールドという図式が当てはまる。

その陣容も女子ストロー級、男子はフライ級からヘビー級まで全8階級がマッチメイクされており、それだけ英国勢の層の厚さが感じられるPPV大会だ。ところが、この英国勢オールスター戦といえるUFC304の会場ドアオープンは現地時間の午後10時で、第1試合の開始は驚愕の午後11時からとなっている。

つまりはPPV大会、米国市場でビジネスが成立するイベントが英国勢で占められていることになる。いってみるとプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドとマンチェスター・シティのマンチェスターダービーが、米国プライムタイムで行われるようなものだ。

そんな世界が注目する英国勢だが、日本に限っていうと最も気になるのはマネル・ケイプと対戦するムハマド・モカエフになるだろう。2000年7月30日生まれ、同大会の3日後に24歳となるモカエフは、ダゲスタン生まれで12歳の時に英国に移住。一時はパリ五輪を目指していたほどグレコローマンレスリングで活躍し、柔術やノーギに活動の範囲を広げる。その後、MMAに転じIMMAFで2度世界大会を制し、アマ戦績23連勝でプロデビューを果たした。

IMMAFを所有するバーレーン王国のスポーツプロパティ=KHK系列のKHK MMAに所属し、これもKHK系列のBRAVE CFで5連勝を達成すると、UFCにステップアップ。オクタゴンでも6連勝を達成しており、モカエフはプロアマ通算35勝無敗(1NC)という記録の持ち主だ。

テイクダウン&スクランブル、そして極めの持ち主であるモカエフだが、世界最高峰では序盤の2Rを失ったり、ヒザ十字で負傷するなど厳しい局面を体験してきた。結果的に鮮烈な勝利でなく、ドロドロの勝ち方をしてきたことで勝負強さが周知となり、フライ級で6位にランクされている。

既に世界王座挑戦経験のあるアレックス・ペレスを下し、今回は地元といっても過言でないマンチェスターで、元RIZINファイターのマネル・ケイプと対峙するモカエフ。過去一のパンチ力、瞬発力を誇るケイプとの対戦をクリアすれば、世界王者アレッシャンドリ・パントージャ戦も現実的な選択になってくる。

そんななか「モカエフと無敗対決を制した方が、王座挑戦権を得るストーリーがあるとUFC的にも面白いはず」と言っているのが、平良達郎だ。平良もUFCで6連勝中で、モカエフが判定勝ちだったペレスをTKOで下しており、ケイプに勝利して7連勝となった同い年対決は、まさに次期挑戦者決定戦に相応しいだろう。

英国MMA界の未来は、J-MMA界の将来に対して、「対戦するよりも、それぞれの道で上を目指せばいずれ出会う」と興味を余り示していなかったが、ペレス戦の勝利で平良の評価はUFC内でもうなぎ上りとあっては、もう無視することはできないはず。

平良の今後を考えても、試合結果&内容ともマスト・チェック──それがモカエフ×ケイプの一戦だ。

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