7月28日(日)埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催される超RIZIN.3。朝倉未来VS平本蓮をメインイベントに据え、マニー・パッキャオVS安保瑠輝也のRIZINスタンディングバウト特別ルール(ボクシング)という飛び道具も投入され、通常のナンバーシリーズやLANDMARKシリーズとは違う「超RIZIN}ならではのカードが並んでいる。そのなかで筆者が注目したいのが斎藤裕VS久保優太だ。
多くの立ち技ファイターがRIZINでMMAにチャレンジしているが、久保の立ち技での実績は群を抜いている。ヒジありキック時代に多数のタイトルを獲得し、K-1ルール転向後は2011年の旧K-1の-63kg日本トーナメント優勝を皮切りに、2013年にGLORYフェザー級トーナメント、2017年に新生K-1の初代ウェルター級王座決定トーナメントでも優勝を果たした。K-1ウェルター級王者時代には3度の防衛に成功し、同階級では無敗のままベルトを返上して、MMAへのチャレンジを選択した。
旧K-1・GLORY・新生K-1の3団体でワンデートーナメントを制した日本人は久保しかいない。RIZIN転向後のシバター戦など、リング外のことが話題になり、キャラクター先行型と思われがちな選手ではあるが、改めてこの経歴を見れば、久保のMMA挑戦=日本の立ち技ファイターのトップ中のトップによるMMA挑戦ということが分かるだろう。
またRIZINでの戦績を振り返っても、MMAキャリア3戦目で木下カラテ、5戦目で高橋遼伍からスプリット判定ながら勝利を収めており、MMAでの試合数こそ少ないものの、内容の濃い試合をこなし、試合のたびに確実に成長を遂げている。
久保は自らを「格闘技の天才」と称することがあるが、それを垣間見たエピソードがある。筆者は高橋戦の前に別選手の取材でBRAVE三郷を訪れ、その際に久保の試合直前の練習を見かけたのだが、この時に久保が入念に反復練習していたのが首相撲だった。そしていざ高橋戦を迎えると、久保はこの時に練習していた首相撲の技術を使いこなして、高橋のテイクダウンや組みを防いでいたのだ。慣れない&キャリアが浅いMMAにおいて、あれだけ練習・対策通りの動きができるのは並大抵のことではない。まさに久保の才能、そして努力の賜物がなせる業だ。
今回対戦する斎藤は元RIZINフェザー級王者で、RIZINフェザー級のトップ戦線で戦ってきた選手。久保がこれまで戦ってきた相手のなかで最もMMAファイターとして完成度が高く、実績も残している。下馬評では斎藤有利の一戦だが、それも久保陣営は折り込み済みのはず。そのうえで斎藤のテイクダウン・組み技をどう防いで、得意の打撃を当てるかの戦略を練っているはずだ。高橋戦で首相撲を有効活用したように、斎藤攻略という部分で新たな技術を磨いているに違いない。
久保のMMAファイターとしてのポテンシャルはどこまでのものなのか。それが明確に分かる斎藤との一戦だ。