7 月26 日(金)東京・後楽園ホールにて開催されるRISE180 。選手層が厚く、軽量級戦
線が注目を集めている現在のRISEだが、今大会のメインイベントを務めるのは、 RISEQUEEN アトム級現王者・宮﨑小雪だ。
2 人の姉の影響で小学3 年生から空手を始めた宮﨑は、空手だけでなくアマチュアキックボクシングでも優秀な戦績を収め、2019 年に鳴り物入りでプロデビューもドローに。4戦目(2020 年11 月1 日)で当時NJKFミネルヴァ日本ピン級王者だったAyaka と対戦して僅差の判定負けも、それ以降は空手仕込みの軽やかなステップと出入りの速い攻撃力などトータルバランスの優れたテクニックで連勝を記録している。
7 戦目では大ベテランの紅絹を破ってRISE QUEEN アトム級タイトルを獲得すると、その後も伊藤紗弥、小林愛理奈、MISAKI と国内のトップファイターやタイ強豪を次々と撃破、今年3 月にはK-1 のリングに乗り込み、K-1 WORLD GP 女子アトム級王者の菅原美優と対戦し、延長戦の末に判定勝利を収め、 “国内最強 “を証明した。
現在12 連勝、約4 年間負けなしの宮﨑に用意された相手は、タイのサムサン・C2M MUAYTHAI & FITNESS 。当時16 歳だった2000 年に麻薬密売により逮捕され、懲役10年の刑を受け服役。収監された刑務所での更生プログラムの一環としてボクシングを始め、プロとなり(リングネームはサムソン・トー・ブアマッド)、2007 年にWBC 女子ライトフライ級王座決定戦で宮尾綾香に判定勝利し、タイ初の女子世界王者となったことで刑期が短縮され、釈放されたという異色な経歴を持つファイター(彼女の半生が映画化されている)。
戴冠後は小関桃、江畑佳代子などの挑戦を退け、3 度目の防衛に成功。そしてWBC 王座のほか、WIBA インターナショナルフライ級王座、WIBA 世界ミニマム級王座、ABCO 女子ミニマム級王座とこれまでにボクシングでは合計4 本のタイトルを獲得している。今年6月10 日には天海ツナミとWBC 女子ミニマム級シルバー王座決定戦を争って判定負けを喫したが、天海に敗れるまで3連続TKO 勝利しているだけに、現在41歳とはいえ、現役ばりばりのトップ戦線のプロボクサーといっても過言ではないだろう。過去にムエタイ3戦のキャリアがあるが、今回キックルールでの試合を決めた理由を「41 だけどまだ身体も強いし、もう一度自分にチャレンジしたいから」だという。
ボクシングでワールドクラスの実績を残し、キックでの実力は未知数の難敵を迎え撃つことになった宮﨑は「試合映像を見たところ、印象としては圧力をかけてじわじわ戦ってくる選手。スピードより一発がある選手なので緊張感のある試合になると思います。一発でももらったら終わり、くらいの感覚でいます」と警戒している。
それでも「何本もボクシングのベルトを持っていて本当に凄いと思いますし、調べていく中で日本で有名な選手とボクシングで戦って勝ったりもしているのでボクシング技術は一流だと思うのですが、キックボクシングルールになったら私のホーム、私のルールなので必ず勝たないといけない」と他競技から来た選手には負けられないと力強く意気込みを語っている。
現在、RISEの女子部門では、小林愛理奈が、宮﨑よりも1階級上のRISE QUEEN ミニフライ級で王者に君臨し、男子選手以上のバチバチの打ち合いでダウン、KO を量産。5月のRISEでは前RISE QUEEN フライ級王者・小林愛三とオープンフィンガーグローブ着用でRISE歴史に残る大激闘を繰り広げている。小林とは過去に3度対戦しいずれも勝利し”強さ”は宮﨑が上だが、 “インパクト”の面では小林の方が目立っていることは確か。
「RISEの女子世界ベルトを作ってもらうことが今の一番の目標」という宮﨑に対し、RISE・伊藤隆代表は「いきなり世界王座決定戦をやるのではなく、いろいろな国の強い選手たちを探してきて試練の試合をさせていきたい」という。RISE世界タイトルは那須川天心が初めて巻き、RISEの顔といってもいい存在となる。RISE女子の顔となるべく、宮﨑には勝利以上にインパクトある勝ち方も求められているのではないだろうか。