9月29日（日）、東京・国立代々木競技場第二体育館で開催の『K-1 WORLD MAX 2024』で、K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメントの決勝ラウンドがワンデイで行われる。

同トーナメントは7月の代々木大会で1回戦を行い、第3代K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王者の金子晃大がクンクメール王者のカン・メンホンから左フックでKO勝ちを収め、金子の背中を追う玖村将史もアントニオ・オルデンを左フック一撃でマットへ沈め両者がこの階級で抜きん出ていることを証明した。

　今回の準決勝で金子は璃明武と、玖村は大久保琉唯とそれぞれ対戦することが決まっているが、選手・関係者の予想では2人が決勝で再戦するとの見方がほとんどだ。

ここまで2人は3回対戦してきて、金子が2勝1敗と勝ち越している。前回の対戦（昨年9月）は延長で金子が逃げ切ったが、僅差という印象は残したままだ。

だが3回目の試合は決着戦というイメージだったこともあり、“もう対戦?”という声も出ているのは事実。レベルの高い試合は何回やっても面白くなる可能性が高いとはいえ、連発したらさすがに見る方も興味も薄れ、やる側もモチベーションを保つことが難しくなってくることだろう。

とはいえ、本当に金子と玖村が順当に勝つのだろうか。ここに着眼点を置いてみると、璃明武、大久保ともに勝機は十分にあると見ていい。

璃明武は2022年2月のK-1スーパー・バンタム級トーナメント準決勝で金子と対戦して、KO負けを喫している。同じ準決勝での再戦になるが璃明武は、「あの時は、自分が全然ダメでした。向こうも進化していると思いますが、自分も進化しています。前回の対戦の時とは、まったく違う自分がいると思っています」と証言している。

また璃明武は、金子、玖村とは必ず戦うことになると予想していたため、ずっと攻略法を考えてきたとも明かした。彼の強みはパンチや蹴り、何でも倒せる武器があることだ。今トーナメント1回戦は延長ラウンドまでもつれたが、最後はローキックでKOしたことで自信になっているという。

金子の一刀両断にするような強烈なパンチに対して、璃明武がどんな技を用意しているのか楽しみでならない。そして、玖村と対戦する大久保だが、2人は舌戦が面白い。玖村は大久保の前戦を見て「試合がイマイチ面白くない。印象に残っている試合は一つもない」と全面否定している。

さらに大久保はテクニックがありポイントを奪う能力に長けているが、玖村は「ポイントアウトがうまいのではなく、それしかできない」と笑い飛ばした。

イケメンの大久保はスイーツ動画をSNSにアップして、「甘いは正義」とコメントしては女性ファンを喜ばしている優等生タイプ。その彼が玖村の挑発に対して「マジでこいつ、ぶっ殺してやる」と感情を高ぶらせている。

大久保が対戦相手のことをここまで憎む経験は、おそらく今回が初めてなのではないだろうか。とはいえ怒り＝勝利とならないのが格闘技。むしろ相手の術中にはまっている可能性もあるが、見る側としてはこんなに面白いことはない。そもそも格闘技の醍醐味の一つは、負ければ勝者にすべてを持っていかれることだ。

相手をここまで否定する発言をした玖村は敗北した瞬間にその反動は大きくブーメランのように戻ってくるし、大久保が勝てば新世代の台頭をアピールすることとなる。金子vs.玖村の4回目の対戦が濃厚と思われる中で番狂わせが起これば、今回のトーナメントはファンの記憶に深く刻まれることになるはずだ。

はたして順当か、波乱か。楽しみな-55kg世界最強トーナメントは、9月29日に全ての答えが出る。