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【コラム】【あの頃君を追いかけた④】富士登山に初挑戦する那須川天心に同行。脱落者続出の中、起こった(怒った)ハプニング(執筆者:安村 発)

前回、天心コラム第3回目がアップされた翌日、思ってもいなかった方から「富士登山がどうなったのか気になるぅ~続きが早く読みたい!」と続きを知っているのに、わざとらしいメッセージが携帯に届いた(笑)。

コラム第1回目の「ムエタイ界に激震! 日本人選手による凄い時代到来」に書いた通り、7月14日にジュニア時代から頑張ってきた選手がムエタイ界に激震を起こしたので、天心コラムを中断させてもらって(その選手もジュニア時代に取材していたことがあったので)歴史的一戦について書かせてもらおうと思ったのだが、まさかの天心のお母さんの由美子さんからの強い要望が来たので続きを書くことにする(笑)。

「僕、来週初めて富士山に登るんです!」という天心に、取材を兼ねて自分も初挑戦したいことを告げると「ぜひ一緒に登りましょう」と許可をいただいたので同行することが決定。

富士登山前に、日本一の山だけに登山時間などを調べていたら山頂までに富士宮、吉田、須走、御殿場の4つのルートがあることを知る。頂上を目指すだけなら、人気ルートで山頂までの片道の所要時間が4時間半の富士宮口ルートか、6時間の吉田口ルートで登るんだろうと勝手に思っていたら、天心いわく「行くなら御殿場ルートっしょ!」となんと片道7時間の上級者コースで登ることに。全ルートの中で最も標高差が大きく距離も長いことから富士登山利用者は全体の約6%しか利用者がいないという不人気なルートだという。

「登山はまるで人生のようだ」とよく言われるけれど、長い時間をかけてこつこつと頂上を目指す道を選択した天心は、幼少期からこつこつと努力してチャンピオンを目指しているだけにそういうルートを選ぶんだなと。

深夜出発で山頂で御来光を見る計画となり、新宿の夜遅くに集まったのは、天心メンバーには元ZSTバンタム級王者・柏崎剛、キックボクサーの下丈一朗、現在ボクシング選手権二連覇中の牧野草子と高校生のお友達数名。私が取材ついでに登山することを周りに伝えたところ、興味を持ってついてきてくれた現在RISEの映像班でバリバリ活躍しているNさん、そして業界関係者のAさん。計11人が揃い、終電とタクシーを使っていざ登山口へ。

最初はみんなが初の富士登山ということもあり、「俺が先にゴールしてやる!」と言わんばかりに速いペースで登り始めており、これがとんでもない事態になるとは当然、この時点では誰も知らず。私らグループは自分たちのペースで登りましょうということで、天心チームとは遅れてゆっくりと登る。「疲れてきた人もいるので途中休憩しましょうと」ということになり、休憩をすることに。5分経ったぐらいの時に天心が「では出発!」といきなり再出発してしまった。

この天心ペースに『ええええっ!』と当時はビックリしたものだが、その後、彼の出稽古先のジム関係者、トレーナーの方々を取材する機会が増えて、彼らの天心に関するファーストインプッションを尋ねると、以下のような言葉が聞かれた。

「初めてうちのジムに出稽古に来た時に、シャドーをいきなり始めたのですが、普通はよそのジムだから端っこでやりますが、天心はジムの真ん中で堂々とシャドーを初めたのを見て、その場が天心の空気になっていました」

「ああ、富士山の時はこういうことだったのか」と点と点がつながり、妙に納得させられるものがあった。

登山再開後、標高が高くなるに連れて、空気が薄くなり、ハイペースで登ったものだから天心のお友達は高山病になってしまい次々と脱落。登山道の至るどころで倒れているお友達は「僕たちのことは気にしないで先に登ってください……」と力尽きた様子。お言葉に甘えて、残っている天心チームを追いかけるように私のチーム3名は登っていたところ、大きな撮影用カメラを持ちながら登っていたNさんが「足がつったので僕をおいて先に行ってください……」とまさかの脱落!? 

横にいたSさんは私に気を遣ってか、「安村は取材があるんだから先に行っていいよ。Nさんは俺が面倒を見る」とのことだったので、私は天心チームに遅れる形で登っていた数時間後、Sさんからの着信! どうしたのかな? と思って出たら「天心いる? 天心に変われ!」と電話口からまさかの怒鳴り声が……。(以下、続く)

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