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【review】インパクト大のRISEタイトルマッチ。新王者・那須川龍心が兄・天心を超える日は来るか

キックボクシングで42戦42勝無敗のままボクシングに転向した那須川天心が初めてベルトに挑戦することとなった2015年5月31日のRISEバンタム級タイトルマッチ。その一戦では、当時16歳だった天心が王者・村越優汰を序盤からスピードで圧倒し1Rにダウン奪取。2Rにはパンチのラッシュを仕掛けて2度のダウンを追加したところでレフェリーが試合をストップ。RISE軽量級最強だった村越を天心が衝撃的なTKO勝利でベルトを巻くというRISEの歴史にインパクトを残す一戦となった。

あれから約10年、11月23日に後楽園ホールで行われた『RISE 183』のメインイベントでは天心の弟・龍心がRISEフライ級タイトルマッチで王者・数島大陸に挑戦した。

軽量級の中でも倒す選手として知られる数島は、名門・及川道場の最高傑作として評価されアマチュア時代から数々の大会で優勝。プロ転向後も“神の左”と自身で命名した左ストレートを武器にKOを量産し、2023年10月のRISEで松本天志と5Rフルに戦った末に判定勝ちでRISEフライ級のベルトを巻いた。

対する龍心もアマチュア時代から優秀な戦績を収め、プロデビュー後は天心なきRISEで“ポスト天心”として期待を集めたものの、無敗の天心通りには行かずにプロ2戦目でK-1の大久保琉唯に判定負け。6戦目の塚本望夢戦でも敗れ2敗目を喫したが、同階級の上位陣を倒して7連勝(MMAを含む)し今回の王座挑戦権を獲得した。

タイトルマッチ前日会見で龍心は、兄のタイトルマッチを超える試合ができるかと問われると「その試合を意識しているかと言ったらあまりしてないけれど、10年越しということもあって、ここは俺が獲らないと行けないのかなと。獲るためにこの試合があると思っています」とベルト奪取宣言。

試合では、お互いにフェイントを掛け合う中、龍心のパンチのヒットが目立ち始め、終盤に左ストレートがクリーンヒット。畳みかけるように龍心が近距離の打ち合いを仕掛けて右ストレートからの左フックを当てると、数島はダウン。立ち上がったもののフラついていたことでレフェリーがストップし、龍心が予想を大きく覆すだけでなく、間違いなく天心のタイトルマッチ以上のインパクトを残す戴冠劇だったといえるだろう。

龍心は試合後のマイクで「僕がキックボクシングを、RISEを盛り上げていける存在になれるようにこれからも頑張ります」と宣言し、「王者になった以上は強いやつとやっていかないといけない」と、早くもチャンピオンらしい風格あるコメント。

世間では“兄より弟の方が優秀な場合が多い”とよく言われがちであり、天心は「そんなことはない」とよく全否定するが、龍心は今後どこまで大きな存在となるか。

RISE王者になり他団体の王者勢、外国の強豪を次々と倒していった天心と同じく強いと言われている選手とやっていきたいという龍心は、早くも12月21日のRISEビッグマッチで、ONEバンタム級ムエタイ&フライ級キックボクシング王者・スーパーレックの愛弟子のペットマイ・MC .スーパーレックムエタイとの対戦が決定。今後、兄以上の存在となるか。狼煙は上がった。

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