スーパーフライ級(-53キロ)では大﨑一貴が世界タイトルを目指して王座を返上し12月大会で政所仁と花岡竜による王座決定戦を実施。バンタム級(-55キロ)は大﨑孔稀が8月の初防衛戦で大森隆之介を判定で下し、11月に待望のONE初参戦では中国のフオ・シャオロンからダウンを奪った上で完勝して見せるなど、注目を集めているRISE軽量級戦線。
11月23日の後楽園ホール大会=RISE183ではRISE最軽量のフライ級(-51.5キロ)で王者・数島大陸が那須川龍心を挑戦者に迎えて初防衛戦を行う。
数島はRENA、MIO、滉大、有井渚海といったチャンピオン、名選手を次々と輩出している及川道場の現エース。ジュニア時代からフルコンタクト空手で数々の大会で優勝するなど輝かしい実績を残して2020年にプロデビューした。
及川知浩代表が「及川道場の最高傑作」と評価するだけあって、軽量級ながらもKOを連発。プロ5戦目では、日本人として8人目のラジャダムナンスタジアム王者となった竜哉・エイワスポーツジムからダウンを奪う(結果は引き分け)など早くから注目を集めてきた。昨年10月に松本天志とのベルトを懸けた戦いで勝利し、僅か2年で念願のRISEのベルトを巻いた。
対する龍心は、那須川天心の弟でアマチュア時代から注目されていた逸材。「天心のようなスパルタ指導はできなかった」(父・那須川弘幸)と天心とは方法論が違ったマンツーマン指導と、末っ子ならではの甘やかしで育てられてきた。が、2022年4月にプロデビューしてからは、これまた末っ子ならではの要領の良さで着実に力を付けていく。2023年2月に塚本望夢戦で敗れてからは昨年12月にMMAでの勝利を含めて8連勝。この好調の要因について、龍心は「自分自身の戦い方を見つめ直したことで、今の連勝につながっていると思います」といい、「“那須川天心の弟”ということでテレビ出場などで露出する機会が増え、いろんな経験をさせてもらっているので、度胸がついた」ことが一番大きいと自己分析している。
今回のタイトルマッチが決定して以降、数島は「那須川選手はいろいろなメディアに出て勢いがり注目度も高い。RISEも凄く良い待遇をしていると思うので、そんなヤツらには負けたくないし、お前ら全員見とけよって思っています。僕の次のタイトルマッチに懸ける執念を見てください」と団体の龍心贔屓に不満をぶつける。一方、弟想いの天心は「龍心はタイトルにふさわしい挑戦者だと思うし、今まで負けた相手にちゃんとリベンジしてきているし、勝ってきてるので全然文句言われることもない。龍心は以前とは練習に対する姿勢も違うし、一皮剥けた」と高く評価をしており、那須川陣営もタイトル奪取に自信を見せている。
ムエタイでは、選手層が厚く強い選手が揃っていることで最激戦区の軽量級が“神の階級”と呼ばれるが、RISEの“神の階級”で勝利し、最後にベルトを巻くのは数島か龍心か。答えはすぐに出る。