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【review】大盛況のマンチェスター大会も、モカエフとUFCは決別? 平良達郎のUFC世界フライ級王座挑戦は早まるのか

7月27日(土・現地時間)、8年振りに開催されたUFCマンチェスター大会はコープライブ・アリーナに1万8000人のファンが集まった。メインではそのファンの期待に応えることができず、英国人世界ウェルター級王者のレオン・エドワーズが、ベラル・モハメッドに判定負けを喫して、ベルトを失った。

とはいえコメインでは暫定世界ヘビー級王者のトム・アスピナルはカーティス・ブレイズを60秒ジャストでKOし「僕は特別なじゃない。普通の人間、普通の家で育ち、普通の家族がいる。皆と同じだ」とマイクでも感動を与えている。

大英帝国の仲間=パディ・プンブレットはボビー・グリーンを初回に三角絞めで切っておとし、オクタゴン6連勝を達成。アーノルド・アレンはギガ・チカゼと超高度なMMAキックボクシング戦を制し、ナサニエル・ウッドやジェイク・ハードリーもこれぞ世界の最高峰という試合をプレリミから繰り広げた。

そんななかRIZINで活躍したマネル・ケイプを3-0の判定で下し、ピンプレットを上回るUFCデビュー以来の連勝を7とし、プロアマ通算成績を36勝0敗としたムハマド・モカエフの今後に暗雲が立ちこまれている。

試合内容的には初回は打撃で間合いの測り合いが続き、2Rと3Rにはモカエフがテイクダウンを決める場面も見られたが、ケイプがすぐにスクランブルに持ち込むか、トップをとったモカエフが抑えに徹し、下からエルボーを受けるという状態が見られたのみだった。

これが米国、いやモカエフにとってご当地といって良いマンチェスター以外の大会なら周囲ブーイングが起こったであろう試合展開だったが、彼の3-0の勝利に観客は大きな声援を送り、モカエフもまた「23歳でUFCでは7連勝。もうタイトルに挑戦しても良いだろう。UFCと新しい契約を結びたい」と勝利者インタビューで話し、中継実況陣もUFC世界フライ級王者アレッシャンドリ・パントージャ戦が実現するのかという風に試合を締めている。

つまり平良達郎が熱望したこの一戦の勝者(つまりモカエフ)と挑戦権を懸けて戦うというストーリーではなく、モカエフがタイトルショット出場に向けて日本のエースをリードする展開になったような印象を与えることとなった。しかし、、イベント終了後の会見でダナ・ホワイトはモカエフとは契約をしない──という方針を明らかとした。

この日の試合展開が何も面白くなかった。交渉で高額を要求している。そんな事例がサインをしないという発言の原因になっているのかという記者の質問には「試合内容についてはマッチメイカーは何を言うだろう。ああいう試合のビッグファンではない。でも、テイクダウンをして戦う選手はいくらでもいる。本当に……。お金の話とか、そういうことじゃないんだ。過去数カ月、PIでもそうだがヤツは問題を起こし過ぎた。マッチメイカーも彼との契約を欲していない」と名言したうえで、「PFLなら無敗の偉大な選手を歓迎するだろう」という発言まで聞かれた。

ご存知のようにPFLはバンタム級すらシーズン・フォーマットに用いておらず、フライ級は存在していないのだから痛烈や嫌味といえるだろう。

一説によるとUFCはパントージャ×モカエフ×ケイプの勝者の世界戦を目論んでいたとされており、平良に関しては他のトップランカーと戦というプランも用意されていたという。もちろん、ダナの会見後の発言も交渉を有利にするためのブラフの可能性も捨てきれない。

いずれにしても日本のMMAファンにとって、夢といっても過言でない平良達郎の世界挑戦はモカエフと平良の実力勝負ではなく、UFC×モカエフのコンフリクトの行方によって決まるような流れになってきた。

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