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【review】14年ぶりに復活のWGP東欧予選は、波乱の連続でリザーバー優勝の大番狂わせ!

2024年6月30日(土=現地時間)、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ市にあるスケンデリヤ・アリーナで『K-1 WORLD GP 2024 in Sarajevo』が開催された。このK-1ボスニア大会は、今年から14年ぶりに復活した無差別級のK-1WGPの世界予選トーナメントの開幕にあたり、8名のワンデイトーナメントの東欧予選トーナメントが行われ、大波乱の連続でリザーバーのセルビアのミロス・ツヴェチカニンが優勝した。

 リザーバーからの優勝は、過去のK-1を振り返ってみてもちょっと記憶がない。ただ2002年のK-1WGP開幕戦でボブ・サップにTKO負けを喫していたアーネスト・ホーストが、負傷欠場したセーム・シュルトの代役として復活出場し、サップと再戦してTKO負け。ところがサップが負傷欠場により再び復活し、二度の敗退からの奇跡の優勝を成し遂げた。だが、無名のリザーバーが優勝するというのは誰も予想していなかったことだろう。

 東欧予選トーナメント一回戦は、カディル・イルディリム(トルコ)vsトーマス・ハロン(チェコ)、クラウディオ・イストラテ(イタリア)vsニダル・ブチリ(モロッコ)、バリント・ラドヴァー(ハンガリー)vsミロスラフ・ヴーヨヴィッチ(モンテネグロ)、イヴァン・バルテク(スロバキア)vsダニロ・トシッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の4試合が組まれていた。

 このうち優勝候補は、昨年のK-1無差別級トーナメントで準優勝した“グリズリー”イストラテ、そして2018年にEnfusionで“エロジマン”ことエロール・ジマーマンからKO勝ちを収めているブチリ、21年のRoad to ONEの120kg級トーナメントで優勝しているベテランのハロンなどが顔を揃えた。

 ところが一回戦のイストラテとブチリの好カードは、本戦ドローという内容に納得いかないイストラテが延長ラウンドを放棄して控室へ戻ってしまうという異例の事態に。この試合はブチリが優勢に見えたため、イストラテが何をもって勝っていたと主張したのか謎だが、会見時から不機嫌そうな態度をとっていたため最初からモチベーションが低かったのかもしれない。

 そして、注目のハロンは“トルコのターミネーター”イルディリムの右をもらいダウンを喫して敗退。反対のブロックでは、ヴーヨヴィッチがハンガリーのラドヴァーを下して準決勝進出。“スロバキアの番犬”バルテクは、地元“ボスニアヒーロー”トシッチの豪腕パンチに苦しみ判定負けを喫していた。

 準決勝はイリディリムとイストラテに勝利した“ザ・ソルジャー”ブチリとなり、イリディリムが僅差の判定勝利。もう一つの準決勝は、ヴーヨヴィッチとトシッチが戦うことになっていたが、ヴーヨヴィッチがケガで欠場となり、ここでリザーバーのミロス・ツヴェチカニンが登場した。トシッチは初戦でケガを負っており、ツヴェチカニンのパンチ連打を受けて戦意喪失に。セコンドからタオルが投入され、ツヴェチカニンがファイナル進出を決めた。

 当初、イリディリムとツヴェチカニンが決勝を争うこととなっていたが、入場してきたのは負けたはずのブチリだった。アナウンスではイリディリムが準決勝でケガをしてしまい、敗北したブチリが復活することに。しかも、ブチリもケガをしているようで、元気なツヴェチカニンがローキックでKO勝ちを収めて、全試合KO制覇という結果となった。

 ツヴェチカニンは、リザーバーとして本戦に抜擢されただけではなく、相手が2人ともケガやダメージを負っているという幸運な展開が待っていた。しかし、運がいいだけではなくリザーブファイトで垣間見えたパンチ連打からのヒザ蹴りは素晴らしく、データを見るとブルガリアの格闘技イベント「SENSHI」で3連勝しチャンピオンになっているWAKO世界王者だった。

 この東欧予選のレベルは、正直、そこまで高くなかったとはいえ、ツヴェチカニンは今後要注目ファイターになるのは間違いない。彼は、一日でシンデレラボーイとなり、12⽉14⽇(土)に東京・代々⽊第⼀体育館で⾏われる『K-1 WORLD GP 2024 in Tokyo』のトーナメント出場切符を勝ち取ることとなった。

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