8月31日(土)、東京都江東区のお台場青海R区画野外特設ステージで、「DEEPサマーフェスティバル2024 inお台場」が行われる。
このイベントは開催発表時から「※雨天中止の場合は9月1日(日)に順延」との但し書きが添えられていた。非常に勢力の強い台風10号が発生し、8月30日から31日にかけて東京に接近すると予想されたため、主催者サイドは順延するかどうか検討。台風10号の速度が急激に遅くなったため、29日(木)に予定どおりの日時で開催することを発表している。
「サマーフェスティバル」というイベント名のもとラウンドガールオーディション、格闘技関係者による歌合戦といったコーナーがあと、18時からDEEP公式戦がスタートする。そのメインを務めるのは元DEEPメガトン級王者の長谷川賢だ。長谷川にとっては2019年3月、ONE世界ミドル級王者オンラ・ンサンにTKO負けを喫して以来5年5カ月ぶりの復帰戦となる。
長谷川は2012年12月にDEEPメガトン級のベルトを獲得したあと2度の防衛に成功し、ライトヘビー級に転向して米国のTitanFCに出場。さらにRIZINを経てウェルター級に落としたが、2018年からはミドル級でONEと契約している。同年6月のンサンとの初戦はKO負けでベルト獲得に失敗したものの、試合を視た海外のファンからも長谷川のSNSに多くのコメントが寄せられるほど、ONE史上に残る大激闘でもあった。
翌年3月の再戦で敗れたあとは怪我もあり、試合から遠ざかることに。その間、長谷川はPROGRESS実行委員会を設立し、選手や大会をサポートする裏方に回っていた。そんななかONEとの契約が満了を迎え、負傷も癒えて今回の復帰戦に臨むことに。
対戦相手のSAINTは米国出身の日本在住MMAファイターだ。戦績は2勝2敗——直近の試合では2023年11月、長谷川の練習仲間でもある水野竜也にKO負けを喫している。過去の実績からすれば、長谷川の圧倒的優位は動かない。試合のポイントは、まさに長谷川が5年5カ月というブランクを乗り越えられるかどうかの1点にある。ケージに入って試合勘を十分に取り戻すことができなければ、SAINTの打撃を食らってしまうことも考えられなくもない。
つまり、長谷川が今の自分自身を乗り越えることができるかどうかだ。このブランクの期間は怪我が癒えると練習を続けながら、PROGRESS実行委員会の業務を行っていたという。もちろん選手と裏方で、やるべきことは異なる。特に海外選手の招へいについては、過去に経験したことのない苦労もあっただろう。
かといって、その苦労が選手としての活動に良い影響を及ぼす――かどうかは別問題だ。あくまでファイターはファイター。これは長谷川自身が始めた物語だ。どんな苦労があっても、それを乗り越えて結果を残すしかない。盟友・岡見勇信が昨年12月、自分自身に打ち勝ったように。
むしろ天候が試合にどう影響を及ぼすか。台風が近づいているかぎり、屋外イベントに対して雨と風が影響しないはずはない。特に選手の体やマットが濡れると、スタンドの足元や寝技の展開も大きく変わってくる。そうなれば組まれたくないであろうSAINTにとって優位な状況になることも考えられるが――当日の転向も気になる今回のサマーフェスティバルだ。