2021/4/4 DEEP 赤尾セイジ選手インタビュー

2021月4月4日、大阪・コレガスタジオで開催される『DEEP OSAKA IMPACT 2021』のセミファイナルで、清水俊一と対戦する赤尾セイジ。 昨年11月、大阪のリングで高野優樹に敗れてからの再起戦となるが、その試合内容と現状について聞いたところ、赤尾の口から語られたのは、意外すぎる内容だった。 様々な困難を経て、赤尾は再びリングに立つ。

――練習はすでに終えている状態でしょうか。

「はい。あとは減量とコンディション調整ですね」

――2019年11月に城田和秀で判定勝ちを収めた後、次の試合はちょうど1年後の高野優樹戦でした。コロナ禍で興行が減少したこともありますが、試合がなかった期間の影響などはありますでしょうか?

「いえ、その間にジム(パラエストラ天満)を立ち上げて、自分の生活も充実しているので、逆に良かったと思います。ジムを立ち上げた当初は本当に忙しくて、オファーがあっても試合を受けることができたかどうかは分からない状態でしたから」

――そんななかで昨年11月に高野優樹選手と戦い、1ラウンドKO負けを喫しています。試合内容もそうですが、一番驚いたのは、試合後にご自身のYouTubeチャンネルで『イップスに近い状態にあった』と告白されていたことです。どのような状態にあったのですか。
※注 『イップス(イップス症状)』とは、心の葛藤により、無意識に筋肉の効果を起こし、思い通りのパフォーマンスを発揮できない症状のことをいう。

「正確にイップスと言っていいのかどうかは分からないんですけど、明らかに試合でそんな状態になってしまうことがあって……。実は僕、パニック障害をもっているんですよ」

――えっ……。

「前の試合は自分から倒れこんで負けるような試合をしてしまったんですが、もうリングに立った時点で『あぁ、今日はもうアカン』という感じがあって。自分としては、『こんな試合したら終わりやな』という負け方でした。こんな状態で試合していていいのかな、ってすごく悩んで……。 ただ、練習していて『スポーツ選手としては、まだ弱くなっていない』という想いもあって。自分は落ちていない。まだまだ強くなれる。練習していて、そう感じています。 でも続けていくなら、もうパニック障害のことは隠せないし、しっかり向き合わないといけないと思ったんです」

――パニック障害の症状が試合に影響を及ぼすようになったのは、いつ頃から?

「ここ4~5年の話ですね。普通に試合できる時もあれば、急にそういうスイッチが入っちゃう時があって……すごく波があります。練習中でも急に気持ち悪くなる時があったり」

――今はその状態を克服できているのですか?

「そうですね。3カ月ぐらい前から『マインドフルネス』という治療を始めたんですが、その効果が大きくて。格闘技もそうだし、格闘技以外――普段の生活のことでも手ごたえがあって、自分に必要なのはコレだなって感じています」

――具体的には、どう変わったのでしょうか。

「今やっていることに対して、100%集中できているというか。練習中に症状が起きても、すぐに自分自身で気持ちを切り替えることができます」

――なるほど……まだ日本の格闘技界では少ないかもしれませんが、パニック障害に限らず集中力を含めたマインドの調整は、海外スポーツでも広く取り入れられていることですよね。

「すごく大事なことやと思います。前の試合が終わった後、もう現役はやめたほうがいいかなと考えることもあったんです。でもやっぱり格闘技が好きなので、ここで終わっていいのかって葛藤がありました」

――確かに、YouTubeチャンネルの動画を見ると、「このまま続けられるのかな……」という表情や喋り方でした。でも今は、とても明るくて。

「ハハハ。動画は試合から数日後にアップしたもので、あの時はもう『消えてなくなりたい』っていう気持ちでした(苦笑)。自分が納得できる負け方だったら、いいです。でもあの試合は、自分から投げ出すような負け方やったんで。それは僕自身が一番よく分かっています。だから、それがパニック障害のせいなのか、あるいは本当に格闘技への気持ちがなくなったのかを知りたいんですよね。そのためには、試合をするしかない」

――なるほど……。

「それと今、国内であればRIZINに出たくない選手はいないと思うんですよ。RIZINのバンタム級GPも、勝っていれば自分も出られたのかな、っていう歯がゆい気持ちもあって。……正直に言っちゃっていいですか?」

――はい、お願いします。

「GPの出場メンバーを見ていて、これなら自分が出てもいいんちゃうかな、って思うところはありますよ。誰とは言わないですけど。もし自分が今もHEATのベルトを持っていたら……。もちろん、負けている自分が言えることではないことは分かっています。でも、そんな歯がゆい想いを抱えたまま終わりたくないんですよ。まだ自分の可能性を捨てていないので」

――現在、RIZINバンタム級の頂点にいるのは堀口恭司選手です。そして赤尾選手は、2010年12月、修斗新人王トーナメント決勝で堀口選手と対戦しています。結果は2ラウンドKO負けでしたが、初回は完全に抑えていました。堀口選手のキャリアの中で、最も苦しめられた試合の一つではなかったかと思います。

「……もう一度、堀口選手と対戦できるところまで上がりたいですね。でも今の僕は、堀口選手の名前を挙げられるような立場じゃないので。とにかく目の前の試合を一つひとつ勝つこと。僕たちファイターには、それしかない。勝たないと発言権がないですから」

――分かりました。では次の清水戦についてお聞きします。清水選手に対しては、どのような印象を持っていますか。

「いい相手やなと思います。自分の形をつくったら強いグラップラーですよね。決して油断できる相手ではない。でも、グラジエーターの竹本戦(2021年2月、竹本啓哉に判定負け)を見たんですけど、なんか“迷子”になっている感じがあります。だから、ここで負けたらアカンなぁと。ここから上がっていくためには。 今までずっとDEEPで試合してきましたから、DEEPのベルトを獲るのが夢なんです。でも、まだタイトルマッチもやったことがなくて、ベルトに挑戦しないまま終わりたくない。そこで自分が待っていても仕方なくて、年齢も年齢ですし(現在36歳)、試合をして勝つしかないですからね」

――そのためにも、地元・大阪で行われる今回の試合は重要なものかと思います。

「僕としては大阪で応援してくださる方とか、ジム生の皆さんの前で試合ができるのは、本当に嬉しいです。最終的には、大阪でDEEPのタイトルマッチができるぐらいまでになりたい。次の試合は、自分の力を出し切れるように頑張ります」

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