2021/3/20 修斗 大塚隆史選手インタビュー

――昨年11月、修斗に初参戦。いきなり環太平洋バンタム級王者の安藤達也選手を1R TKOで下し、今回は岡田遼選手の持つ世界王座に挑むこととなりました。まず、大塚選手がこれまでほとんど関りがなかったと思われる修斗に出場したことは驚きです。

「DEEPの元谷戦(2020年3月、元谷友貴戦。判定負け)の前から、小幡さん(小幡太郎、T-GRIP代表)から言われていたんです。『お前が修斗に出たら面白いんじゃないか?』って。その時は『あぁ、それも面白いかな』っていうぐらいの感覚しかなかったんですけど」

――修斗に対しては、どんな印象を持っていたのでしょうか。

「あまり意識したことはなかったです。同じジムの選手が出場している大会を見に行ったり、ABEMA TVの中継を見ることはありました。でも自分がDEEPに出ていることもあって、それほど修斗の選手を意識したこともなかったですね」

――そんななか、修斗に出ようと思ったキッカケを教えてください。

「元谷戦のあと、実は格闘技を辞めようと思って、1回離れたんです。格闘技の試合も情報も、何も見ない。SNS、Twitter、動画も含めて何も見ませんでした。だから、しばらく格闘技界のことは何も知らなかったぐらいで」

――なぜ、格闘技を辞めようと? 大塚選手は2017年の大晦日に開催されたRIZINの石渡伸太郎戦から、その元谷戦まで2勝4敗。その戦績も関係していたのでしょうか。

「はい。特に元谷戦で負けたことですね。そこから『もう1回頑張ろう』という気が起きなくて……。両親や親しい人にも、『もういいかな』って伝えていました」

――すると、練習からも離れて……。

「いえ、ジムで指導はやっていましたし、練習もしていました。もちろん、試合で勝つための練習ではないですけどね。でも試合から離れてみて、気が楽になったというか」

――気が楽になった?

「練習も楽しくできていたり、コンディションもよくなってきたりして。そのタイミングでまた小幡さんも『やってみようよ』と言ってくれたんです。そこで自分も、『修斗に出るのは面白いかな』と思えるようになりました」

――落ちていたモチベーションも上がってきたわけですね。

「僕自身もそうですけど、修斗の選手も『大塚が乗り込んできた!』って闘争心もわくでしょう。それで僕自身も『もう一度戦いたい』って、モチベーションが高まりましたね」

――そこで重要になるのが、初戦の相手でしたが……。

「最初にどの選手が当てられるかなって考えた時、パッとランキングに目を通したんですよ。そこでイメージしたのは、根津優太選手や、石橋佳大選手。安藤選手については『いきなりランキング1位、環太平洋チャンピオンは当てないだろう』と思っていました」

――……と思っていたら、安藤選手が初戦の相手となりました。

「実際のところ、相手は誰でもよかったんです。誰と対戦しても楽しいだろうなと思って。そこで安藤選手を当ててくれて、『ありがとう』と思いましたよ」

――その安藤戦ですが、結果は1R TKO勝ち。左足を負傷した安藤選手が棄権する形で、大塚選手の勝利となっています。

「あれはインローが要因でしたね。アウトローも少しは蹴っていたんですけど、インローを蹴った時に自分の足の甲が、相手のヒザの硬いところに思い切り当たったのを覚えています。自分のほうは痛くなかったんですけど、硬いところに当たったなぁって」

――それだけの感触があったのですか。

「普通は、太ももにインローを入れると、パチーン!って音がするんです。でもあの時はそうじゃなくて、骨と骨が当たった感覚がありました。もう音も出ずに」

――なるほど。衝撃音もなかったので、安藤選手が倒れた時に「どうしたんだ?」と思われたのかもしれません。テイクダウンを防御しようとして、足を負傷したのかと思いました。

「ただ、安藤選手が足を傷めたとは、その時は分かりませんでした。でも次にテイクダウンを仕掛けた時、何か嫌な感じがあったんですよ。『あ、これはもう終わっているな』って」

――インローが決定打ではないにせよ、テイクダウンの際に足を傷めて棄権、という結果につながったのでしょう。

「安藤選手も試合後、僕の控室に顔を出しに来て、インローが原因だと言っていました。僕にも『足、痛くなかったんですか?』と聞かれましたよ。ヒザの硬いところに当たっていたので。それだけ、インローで足を壊していたんだなって理解できて」

――安藤戦の1勝は、失いかけたモチベーションを取り戻すものでしたか?

「はい、そうですね。あの試合から、気持ちはさらに変わりました」

――修斗とDEEPの違いって何か感じましたか?

「試合や選手がどうっていうより、まず修斗って“競技”というイメージがありますよね。基本的にはアマチュア修斗からしっかりやって、プロライセンスを取得する。もし他の選手が出るとしれば、他団体でトップとして活躍している選手じゃないと、プロライセンスも発行されない。そのレベルにない選手が、いきなりプロ修斗に出られるわけない。そういう“競技団体”というイメージがあります」

――今回の大塚選手がそうであるように、ライセンスを与えられた時点で評価されているというか。

「そうですね。会場で関係者の人に会うと『今度、修斗にも出てよ~』と冗談っぽく言われてはいましたけど(笑)」

――冗談というか、格闘技界の挨拶あるあるですね(笑)。しかし本格的に参戦し、世界王座へ挑むことになりました。

「安藤選手に勝った時、マイクで岡田選手に呼びかけて、良い流れになったんじゃないかなと思います。そのあとABEMA TVで放送を見たら、岡田選手が解説席にいて『(大塚と)やってやりますよ』みたいなことを言っていましたよね」

――対戦への流れはできていきましたね。

「さらにそのあと、岡田選手がインタビューで同じことを言っている記事を見て、『あぁ、これはもう(岡田戦が)あるな』と思いました。だから今回のオファーがあった時、特に驚きはしなかったです」

――それまで岡田選手の試合はチェックしていたのですか。

「いや、ほとんど見ていないですね。倉本(一真)戦は、面白いマッチアップだと思ってみたぐらいです」

――それほど見たことがない選手に対戦要求するのは……。

「それは、岡田選手が修斗のチャンピオンだからですよ。修斗とのチャンピオンが岡田選手だから、戦いたい。修斗に出る以上は修斗のチャンピオンを倒したい。それだけです」

――倉本戦を見て、岡田選手の印象は?

「倉本選手がテイクダウンされるけど、岡田選手は寝かされない。そして、しっかり倒す。倒せるパンチを持っている。こんなにちゃんとMMAができるんだな、って思いました。しっかりケージを使っていたりとか」

――その岡田選手をテイクダウンできるか。スクランブルでの競り合いでどうなるのか。次の試合は、とても興味深いです。

「次の試合は、しっかり5R戦うことを想定して練習してきました。岡田選手は、倉本選手が仕掛けてきても対応できる冷静さを持っている。寝かされず、でもそこまでエネルギーを使いすぎずに最後は倒した。そういう巧さがありますよね」

――修斗の世界チャンピオンシップは、5分×5Rで行われます。大塚選手は、5R制を戦うのは初めてですよね。

「5R制の何がキツいって、試合もキツいんでしょうけど、それよりも岡田選手と5分5Rを戦うことを想定した練習ですよ。もう追い込み練習は終わりましたけど、ホントに大変でした(苦笑)。今回は練習環境を変えたんです。人に練習を見てもらう場面を増やしました。自分ひとりではなく、見てくれる人がいるなかで練習するから、『疲れたから、このラウンドは……』と休むことも、妥協することもない」

――それが大変だったと言えるのは、しっかりと練習できたという証拠でしょうね。

「はい。大変でしたけど(苦笑)。そのおかけで、岡田選手に勝つ自信があります。元気な自分を見せることができるんじゃないですか」

――元気な大塚選手……そうですね。大塚選手といえば、そのテイクダウンと運動量を生かし、バンタム級トップ戦線に駆け上がっていた時期を思い出します。

「今また、そのイキの良さがあると思いますよ」

――それは試合が楽しみです。岡田選手に勝利し、修斗の世界王座を獲得した後の目標はありますか。

「そこまでは考えていないですね。まずは修斗のチャンピオンを倒すこと。そのあとは、なるようになるでしょう。今は岡田選手に勝ったあとのことは考えていないし、考えていても口に出すべきじゃない。まずは目の前にいる選手を倒す。それだけを考えています」

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