
――それはフライ級王座も目指すということですか。
「はい、そうです。フライ級では俺が不利になることも分かっていますよ。でも俺がやりたいから、やる。そういうことです」
――ここまでの8連勝を経て、そんな不利な状態でも戦える自信がついてきたのですね。
「自信はあります。練習では上の階級の選手にやられる時もあるし、自分が圧される時のパターンも分かっているんですよ。試合でもボコボコにされていいと思っています」
――……いや、ボコボコにされると負けてしまうのではないですか。
「1~2Rは上を取られて、パンチやヒジで削られて大流血していても、その状況は俺にとってオイシイというか。そんな状態から3Rに逆転勝ちする。そういうドラマチックな試合をするのが理想なので。だから相手が強いからって、上の階級だから試合をするのが嫌っていう気持ちは一切ないですね。むしろボコボコにされたい(笑)。お客さんを心配させてから勝ちたいです」
――新井選手がMMAを始めたキッカケも、大流血から逆転するプロレスを観たことでしたね。しかしながら、そのような新井選手が希望する試合展開に対して、大沢代表はリスクを考えて別の方法を提案してきませんか。
「大沢さんは、そういう希望を尊重してくれるんですよ。大沢さんの凄いところは、あれだけ選手が多いなかで、それぞれの長所を生かした指導をしてくれることです。弱点を修正してくれる一方で、選手がやりたいスタイルを尊重してくれます」
――おぉ、それは階級の壁を超える指導も見てみたいです。では次の対戦相手、関口選手の印象を教えてください。
「最近は、すごくMMAをやっているという感じですよね。どんな場面でも勝負する気持ちを持っているんだろうなと思います。それは俺にはできない、難しいことで。関口選手も相当な練習を積んでいるし、すごく体もデカくなっているし。自分のキャリアを考えてみても、一番強い相手じゃないですか」
――ケージで向かい合ってから、関口選手が応えてくれたのは嬉しかったですか。
「あれは良かったですね。でも関口選手はケージ外からのヤジに応えるような形で(笑)。あれは俺の応援団からのヤジだと思っている人がいるんですけど、そうじゃないんですよ」
――まさしく関口選手が、そう思っていました。
「いやぁ、俺も誰か知らない人たちです(笑)。関口選手がああいうことを言うんだっていうのは良かったですね。あの会場にいた人たちは、俺たちの試合に興味を持ってくれたんじゃないですか」
――この試合に勝てば、次はフライ級王座挑戦と考えていますか。
「次はストロー級の防衛戦じゃないですかね。自分はストロー級でも体が小さいほうだと思うし、今もトレーナーがついて体から変えているところです。フライ級で戦っていれば、結果的にストロー級でも世界で戦える体になっているんじゃないかと思っています。その前に、修斗の世界を完全制覇すること。それが今の自分の目標です」