GLADIATOR020 中川皓貴インタビュー前編

22日(日)、大阪府豊中市の176Boxで開催されるGladiator020で、中川皓貴がチョ・ソンビンと空位のフェザー級王座を争う。

中学、高校と柔道部に所属し、地元である神戸市兵庫区の総合格闘技道場reliableでMMAを始めた中川にとっては、今回が初の国際戦であり、初のタイトルマッチとなる。UFCとPFLへの出場経験を持つ強豪、チョ・ソンビンを相手にどのような試合を見せるのか。中川に現在の練習と、チョ・ソンビン戦への自信のほどを訊いた。

――試合を2週間後に控えてのインタビューとなります(※取材は1月8日に行われた)。現在はまだ追い込みの時期でしょうか。

「はい、まだ追い込みの時期ですね。今日も午前中はトレーニングしていて。プールで有酸素運動をしていました」

――プールですか。1度プールに行くと、どれくらい泳ぐのでしょうか。

「30分くらいの間に25メートルを10本泳いで、さらに息を止めて泳いだりとかですね。あとはプールの中を歩きながらシャドーをしたり。MMAでも組みの展開で、息を止めて動くことがあるじゃないですか。その中でも体を動さないといけない。そこで勝てる体をつくるためにプールでトレーニングしています」

――中川選手は柔道出身のMMAファイターです。プールでのトレーニングは以前から行っているのでしょうか。

「以前ウチ(総合格闘技道場リライアブル)にいた秋葉太樹と一緒にやらせてもらっていて、今も自分だけでやっています。柔道時代からやっていたことではなく、MMAを始めてから取り入れているトレーニングですね」

――そのトレーニングの効果は実感できていますか。

「結果に繋がっているかと言われれば難しいですけど、確実に体力面で向上してきているとは思います。プールでは隣のコースで競泳選手も練習していて、その人たちに負けじと泳いでいます(笑)」

――プロのMMAファイターになってから、柔道時代よりもハードなトレーニングを自身に課しているのでしょうか。

「高校の柔道部もキツかったですね。朝練も毎日ありましたし。ただ、今のほうが自分で考えながら練習できています」

――もともと柔道を始めたのは、いつ頃なのですか。

「中学の時です。今もリライアブルで一緒に練習している田中有君が、中学で1学年先輩やったんですよ。その有君から『柔道部は楽やから入ってみ?』と誘われたんです。もともと僕は帰宅部で、学校が終わったらすぐ家に帰りたいタイプやったんですよね。それで楽なら良いかぁと思って柔道部に入ったら、顧問の先生が厳しくて(笑)」

――アハハハ。練習が楽な柔道部というのは聞いたことがないですよね。

「そうなんですよ。有君の言葉に騙されて。すぐに帰れるような雰囲気は全然なく、毎日練習し続けることになりました。アハハハ」

――田中選手は中川選手に入部してほしくて、練習が楽だと嘘をついたのでしょうか(笑)。

「どうなんですかね? 当時について話をしたことはないけど、有君が誘ってくれたおかげで高校まで柔道をやって、今こうしてMMAにつながっているので感謝しています」

――田中有選手は高校で柔道は引退したものの体を動かしたい、ということでお兄さん(田中淳、総合格闘技道場リライアブル代表)が運営しているジムに入ったそうです。中川選手もMMAを始めるのは、同じような流れだったのですか。

「自分の場合は、淳君や有君のアマチュアMMAの試合を見たことがキッカケなんです。『何やコレ!? めっちゃカッコいい。俺もMMA始めよう!』と思いました。リライアブルには先に同級生の増田拓真が入っていたこともあって」

――DEEPやパンクラスの大阪大会を主戦場としている増田選手ですよね。その増田選手は同級生だったのですか。

「彼も有君に誘われてリライアブルに入ったんです。僕は、その増田から『道場へ見学に来いよ』と誘われて。ただ、見学に行った時がちょうど代表の試合前で、道場も結構ピリついていたらしいんですよ。だから僕は『試合が終わってから行くわ』と返事をしたんですけど、増田が『エエから来いって』と言ってくれて――そこから今に至ります」

――田中淳代表と田中有選手が兄弟で、中川選手は有選手の後輩、増田選手も中川選手の同級生という関係なのですね。リライアブルというのは、昔から知っている仲間が集まって出来上がった道場なのですか。

「そうなんです。もともとは淳君が始めて、そこに柔道時代の繋がりで集まってきて――。ハンセン玲雄や斎土泰斗も有君と柔道で同期やったから、僕も昔から知っていました。今は一般会員さんも多いですし、一般クラスからプロになる選手もいます。でも一般会員さんも含めて、仲間意識はウチのジムが一番強いと思っています」

――なるほど。そのリライアブルでMMAを始めて2018年にプロデビューし、1つのノーコンテストを含めて2020年まで負けなしでした。

「あぁ……、そうですね。ただ、結果は勝ちでも自分の中では負けていた試合が、何試合かありました。だから戦績は気にしていなかったです。それでも初めての負け(2021年7月、遠藤来生に判定負け)はキツかったですね。

ずっと自分との戦いやったと思います。勝っている時は、何でもイケる気がしていましたよね。『誰でもかかってこい、やったんで』みたいな(笑)。でも一回負けると――怖さを知ると、その後も試合前は不安になるんです。また負けたらどうしよう、ここを落としたら次はない。そういう不安が大きくなってきて、試合前は不安で仕方なかったです」

――2連敗を喫したあと、2022年3月にRIZIN Triggerで小島勝志選手に判定勝ちしました。小島戦は、そのような不安は大きくなかったのですか。

「あの試合は何も考えていなかったです。2連敗して、吹っ切れていました。もうやるしかない。反対に、連勝している時のような気持ちに戻ることができていたように思います」

――中川選手と田中有選手の試合を見ていると、柔道出身というイメージは少なく、どちらかといえばトータルファイターのイメージが強いです。

「代表からは『もっと柔道を使っていけ』と言われています。MMAファイターには柔道経験者はいるけど、僕や有君の柔道技を防げるような選手は少ない。もっと柔道技を使っていけ、と指導を受けています。練習でも壁際の差し合いになった時、『そこで柔道技を使え!』と言われたり。自分でも、やらなアカンなって思います。どうしても壁際になると、レスリングの意識が強くなりすぎるんですよね」

――スタンドの攻防でいえば、組んで柔道技の展開に持ち込むよりも、打撃戦をやりたくなってしまうのではないですか。

「いや、それは……正直に言うと、僕は打撃が怖いですんですよ。できれば打撃はやりたくないです」

――打撃が怖い……次の相手がチョ・ソンビンで、それを言いますか。

「アハハハ、そうなんですよね。相手はバリバリ打撃が強い選手で。あんなにブンブン振ってきたら怖いですよ。自分もブン殴りに行きますけど(笑)」

――どちらなのですか(笑)。まずチョ・ソンビン戦のオファーが来た時は、どのように感じましたか。

「『初めて外国人選手との試合や』と思いました。写真を見たら、韓国の俳優さんかと思うようなルックスで。でも経歴を見るとUFCやPFLに出ていて、プロフィール写真でもベルトを3つ持っていたりとか。『メチャクチャ強そうやん!』 と思って試合を見てみると、ストライカーで前にどんどん出てきて――メッチャ殴られそうやな、と思いました(苦笑)。でも穴は見つかったので、その穴を突けるよう考えて練習しています」

――差し支えなければ、見つけた穴を教えてください。

「……やっぱり寝技じゃないですかね。相手のほうがリーチも長いし身長も高いので、打撃で打ち合ってしまうよりは、サクッと組んで倒してしまおうかなと思います」

――もともとチョ・ソンビンはテイクダウンに行くこともありましたが、ここ数試合は打撃戦を挑んで反対にグラウンドへ持ち込まれる場面も増えています。

「面白い試合というか、目立つ試合を求められるとああやって打撃戦になってしまうんですかね。どちらにしても、自分もテイクダウンできる自信があります。それこそ代表の言うとおり、自分の柔道技を生かしていきたいです」

この項へ、続く>

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